「夫のクビがどうなってもいいのか?」 その卑怯な脅し文句は、私の理性を縛り付ける鎖となり、同時に情欲のスイッチを入れる呪文へと変わっていた。
“体調不良”という大義名分を掲げ、同居を強いてきた義父。その瞳に宿るのは、老いなど微塵も感じさせない、ぎらついた雄の欲望だけだ。夫の留守中はもちろん、夫が壁一枚隔てた隣室で寝息を立てている時でさえ、義父の執拗な手は私の服の下へと潜り込んでくる。
拒絶しようとする唇を、脂ぎった太い指が強引に塞ぐ。鼻腔を突くのは、加齢臭と混じり合った、むせ返るような獣の匂い。淡白な夫との清廉な夜には決して存在しない、粘着質で、どこまでもいやらしい愛撫。嫌悪感で身をよじっているはずなのに、開発され尽くした身体の奥底からは、どろりと熱い蜜がとめどなく溢れ出してしまう。
「いい声だ、しずくさん……息子には出せない声だろう?」
耳元で囁かれる冒涜的な言葉に、背筋が粟立つ。悔しいけれど、その指摘はあまりにも的確だった。夫への罪悪感が極上のスパイスとなり、義父の巧みな舌技に翻弄され、私はいつしか人妻としての矜持を捨て去っていた。ただ快楽を貪る一匹の雌として、禁断の沼へと自ら腰を沈めていく。

